立憲ユース副代表を解任された日野智貴さんについて少しだけ
日野智貴さんという方は詳しくは存じ上げていませんが、先日、立憲ユース副代表に任命された方のようです。任命されてすぐにツイッター上で宗教社会学者の先生が以下のようにこの人の問題を色々と指摘し、その指摘の数時間後に日野さんは副代表を解任されたとのことです。
立憲民主党は、なかなかすごい活動家を青年組織の副代表に抜擢するんですね。驚きの人事です。https://t.co/AbEKouHz7w
— 塚田 穂高 (@hotaka_tsukada) 2021年12月1日
— 塚田 穂高 (@hotaka_tsukada) 2021年12月1日
PC版でトップページを。
— 塚田 穂高 (@hotaka_tsukada) 2021年12月1日
>日野智貴の5つの誓い
>一、全ての人間を神の子として祝福礼拝し、縁ある皆様に法愛の精神で接して周囲を和顔愛語讃嘆で満たします。
>二、「尊皇愛国・自然共生・生命尊重」を一体のものとして把握し、現代社会の喫緊の課題である地球環境問題に取り組みます。
>三、生長の家総裁に中心帰一して人類光明化運動・国際平和信仰運動を通した日本国実相顕現に邁進します。
— 塚田 穂高 (@hotaka_tsukada) 2021年12月1日
>四、若者・学生・生徒・労働者・胎児・障碍者・薬害被害者・少数民族の「いのち」と「権利」を断固擁護します。
>五、学問的方法によって真実の歴史を明らかにし、我が国の本当の歴史を復興させて次世代へ伝えていきます。https://t.co/vRsrbd8lhS
— 塚田 穂高 (@hotaka_tsukada) 2021年12月1日
統一教会系「世界日報」系「Viewpoint」(ビューポイント)での日野智貴執筆記事
— 塚田 穂高 (@hotaka_tsukada) 2021年12月1日
・「野党共闘よりも、保守系勢力の結集を!」
・「堕胎は明らかに殺人であり憲法違反である」https://t.co/ngEkzSlVOo
選報日本での日野智貴執筆記事。
— 塚田 穂高 (@hotaka_tsukada) 2021年12月1日
・「「ネトウヨ」の正体は左翼だった」
・「「選択的夫婦別姓」は男女平等を後退させるかも」
・「女性を“犠牲にする”フェミニズム運動はどこから来たのか」…https://t.co/IvswfgJr8r
連続ツイートですが、一部ツイートを省略しています。
まず、一度あるポジションに任命した人間を即座に解任する、その立憲民主党の判断がデュープロセスに適ったものなのか疑問に思います。
そしてもう一つ。誰かが、プロライフであったり、夫婦別姓反対論者であったりしたとしても、まともな倫理学者や法哲学者はそれだけで「問題のある人」としてはみなさないでしょう。むしろ、その主張の筋立てがどのようなものであるか読まずに、ただ記事タイトルに釣られるような人のほうを問題視するはずです。「日野智貴」でツイート検索すると、上の、媒体名や記事タイトルの羅列に釣られたような人がたくさん見受けられますね。
さて、日野さんが書いた文章は実際どんなものでしょう。
文章が素人くさくても、また、主張に同意しなくとも、無視し得ない問題を提起していることは、読む人が読めば分かるのでまあ読んだほうがいいのではないでしょうか。媒体名や記事タイトルだけでアレルギー反応を起こしそのまま公の場でそれを述べてしまうのは、おおよそ知的な態度からはかけ離れたものでしょう。
特に詳しくは説明しませんが、日野さん自身がマイノリティの立場に生まれながら(そしておそらく世間にはそのようには認識されないでしょう)、その中で色々と物事を考えてきたのだろうなと感じます。
統一教会教祖の文鮮明の長男・文孝進について調べていたら面白かったので紹介する――ヘビメタバンドマンとしての文孝進の韓国国内での評価
統一教会教祖の文鮮明(故人)と韓鶴子のあいだに生まれた長男・文孝進(故人)について、なんとなく韓国語で情報を集めていたら面白かったので紹介します。
この人は色々と不穏な話題が多いのだけれども、そんなスキャンダラスな内容はググればすぐ出てくると思うので気になる人は適当にググってください。今回は、それとはちょっと違った視点――アーティストとしての文孝進の韓国国内での評判について――から、韓国のブログ記事等を抄訳し紹介しながら、新たな文孝進像に迫ってみたいと思います。
また、文孝進の韓国国内での評価も面白いのですが、個人的には、韓国人の統一教会に対する見方も、日本人のそれとはだいぶ違うのが見て取れて興味深かったです。それについても記事の後のほうで触れたいと思います。
韓国国内での文孝進の評価
先に、アーティスト・文孝進について簡単に述べておきます。この人は、作曲家でもあり、バンドも組み、そのボーカルとしても活躍していました。作曲した曲は、ヘヴィーメタル調のものが多いです。数万曲を作曲した伝説もあるとかないとか。特に統一教会2世のあいだで人気で、いまでも2世がエンターテイメント活動をするときには、文孝進の曲を用いることが多いほどです。
ここまで聞くと、「あー。統一教会信者内で持ち上げられていた人なんだな」と思うかもしれませんが、(いや、それは事実なのですが)、実は韓国国内では信者からだけではなく、コアなヘビメタファンからも結構高く評価されています。
以下では、ヘビメタバンドマン・文孝進について考察した韓国語の記事2つを紹介します。
Metal Kingdom というメタル系のSNS?みたいなサイト(詳しくは知らない)に投稿された記事です。タイトルを訳すと「韓国最高のヘビー/パワーメタルバンド 文孝進バンド」という、日本でこんなことを言ったら統一教会反対派に「統一教会を利する*1御用記事」とか言われそうなものです。
記事の内容は、知る人ぞ知るが音楽の〔高い〕水準に対してあまりに知られていない文孝進、というものです。投稿者は、歌詞は統一教会に関連しているけれども、そうだとしても一度は聴いてみないといけないと述べています。
そして、以下の3つの曲を推薦しています。(よく知りませんが、たぶんこういうのも「統一教会を利すること」になるので、利したくない人は聴かないことをお勧めします。私はそういうのはどうでもいいので聴きます。)
私は音楽について無知だし、センスも皆無なので、その音楽的水準について評価はできませんが、聴いた感じあーなんかいいなと思いました。
ちなみにコメント欄では、アルバムが再発売されたらすぐ買うのに、という「統一教会を利する」ことを言っているけしからん輩がいます。
2つ目の記事です。こちらは、上で挙げた2番目の曲「문효진 - 저 세계의 불사신」を音楽的に考察したものです。音楽に関する専門的な術語が多く、正直何を言っているのかよく分からないところがありますが、とにかく名曲であり、曲調が特異なものであると主張しているのはわかります。
曰く、「文孝進が韓国メタルの真のご父母様であることは明らかだ」*2。
コメント欄には、統一教会と話し合って、ベストアルバムを発売したいと思っているということも書かれています。記事本文には、上の「真のご父母様」の茶化しに加えて、文孝進のスキャンダルを暴露した動画を貼り付けるくらいに、統一教会と距離のある人が、このように教会と協力関係を結ぼうとしているというのは日本だと考えにくいのではないでしょうか。
韓国国内における統一教会の位置づけ
日本で、「統一教会」といえば、霊感商法問題や正体を隠した勧誘等で、反社会的な活動をしている「カルト」として知られています。特に、大学の先生たちの中には、「統一教会とは一切関わるな」と言う人も多いので、私は特に何もしていませんが、統一教会2世としてめちゃ居心地が悪いです。
しかし、韓国では、統一教会は「異端」として扱われ、たしかに揶揄されることは多いけれども、反社会的な団体だとまでは思われていません(これは統一教会に批判的な日本の専門家も認めています*3)。
今回も、文孝進について調べながら、韓国人の統一教会観は、日本のそれとはだいぶ雰囲気が違ってやはり面白いなーと感じたので少し紹介したいと思います。
上で挙げたYou Tube動画の3つ目「문효진 - 효자의 길」(文孝進 - 孝子の道)のコメント欄では、非信者と思われる人々が、「わぁすげえぇ。ほんと宗教や私生活を置いておくとして、音楽的には尊敬できると思う」「文鮮明の息子でさえなければ、ヘビメタのレジェンドになっておられた方」「あー。音楽が宗教の枠に囚われてはいけないのに」と本音で高く評価しています。
中でも面白かったのが、こんな曲が良いという人間は本気か?とか、コカイン吸って死んだエセ宗教教祖の息子*4の曲なんかを聴くのか?というような、「反カルト」的なコメントが、複数の人によって叩かれていることです。たとえば、その「反カルト」的コメントは、こう言い返されています。
「コカイン吸って倒れたのと音楽鑑賞するのとどう関係するんだ?あんたは、この曲の情報もなく聴いてみてもコカイン吸って死んだ文孝進の死体が目の前にちらつくのか?それと宗教は全部ニセモノだろ、統一教会だけニセモノなんか?」
そして、この言い返したコメントのほうが高く評価されています。
日本だと、この曲を褒めるとむしろ反カルト側から「統一教会を利する」と叩かれ、そういう意見がメインストリームになりそうなのを予想してしまうので、このやり取りは面白かったです。
次に、上の記事は、映像作品ファンのコミュニティ(たぶん。サイトの詳しい情報は知らない)に投稿されたものです。内容は、「新天地」という新宗教と統一教会を比べ、統一教会のほうが政治力が上だと論じ、文孝進がヘビメタのミュージシャンとして実力のある人だったと述べる、散漫なものです。
まあ記事の内容はどうでもよくて、コメント欄がやはり興味深いです。統一教会がNBAチームを一つ買収して金正恩と協力事業でもしてくれないかな、というような謎のノリのコメントがあり、笑ってしまいました。
ほかにも、「統一教会がサッカーに投資しなくなって残念。ピースカップ〔筆者注:統一教会が主催した国際サッカー大会。トッテナム等、海外からも有名サッカーチームが参加した〕もそうだし、成南一和〔統一教会が所有していた韓国プロサッカーチーム〕もそうだし…」と言っている人がいます。
ちなみにこのピースカップには日本からは清水エスパルスも参加したのですが、全国霊感商法対策弁護士連絡会が清水エスパルスに参加辞退を要請したそうです。韓国では、ピースカップが無くなってしまって非信者が惜しむほどなのに、えらく雰囲気が違いますね。そういえば、韓国国内でもピースカップを反対する人が一部いたそうですが、スポーツに宗教問題を持ち出すな、と、韓国のネットではむしろ反対派のほうが叩かれていたと聞いたことがあります。
こんな感じで、日本と韓国とでは、統一教会に対するバッシングの温度差があります。言語の壁さえなければ、統一教会2世としては、韓国のほうが住みやすいかもしれません。なぜ私という存在は1ミリも変わっていなくても、そして悪いこともしていないのに*5、国が移るだけでこうも居心地が悪くなるんだろうなと、考えてしまいました。
最後に
統一教会を利する、悪徳な情報を。
文孝進の曲の中では、この曲が統一教会2世のあいだで一番有名だと思います。たぶん、聴くとカルト化して霊感商法と正体を隠した勧誘をするようになって、統一教会を利することになるはずなので聴かないでください、知らんけど。
あと、文孝進の公式サイトに彼の曲が大量に公開されています。聴かないでください。